令和4年宇美町議会3月定例会の開会にあたり、この場をお借りしまして、私の町政運営の基本的な考えを申し上げ、議
員並びに町民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
私は、先の町長選挙におきまして、第21代宇美町長として町政の運営を任せていただくこととなりました。この上ない
光栄でありますとともに、本日、町民の代表である議員の皆さまと議論をさせていただく時を迎え、改めて、身が引き締
まる思いであります。
議員の皆さまには、共に宇美町の未来を思う者として、格別のご指導・ご鞭撻をお願いするものであります。
まず、新型コロナウイルス感染症について、オミクロン株による全国的な感染者の増加に歯止めがかからず、現在、
感染の第6波にあると言われております。
感染されました方々に謹んでお見舞い申し上げるとともに、一日も早いご回復を心からお祈りいたします。
福岡県に適用されていました「まん延防止等重点措置」が、3月6日いっぱいで解除され、飲食店への時短要請が終了
する一方で、感染の再拡大を防ぐため、4月7日までを「感染再拡大防止対策期間」とすることが決定されました。
先日、厚生労働省で開かれた専門家組織の会合では、オミクロン株の亜種「BA.2株」について、来月の上旬には、
東京の感染者のうち7割以上を占める可能性があると報告され、「BA.2株」は、既に国内で広がっている「BA.1株」と
比べ、1人の感染者が何人にうつすかを示す「実効再生産数」が26%高いとの試算が報告されました。感染の第6波が
収まりきれないまま「BA.2株」による感染が拡大するのではないかと懸念をいたしております。
町民の皆さまには、ワクチン接種に加えて、特に会話時などでのマスクの着用、消毒や手洗い、換気や密を避けると
いった基本的な対策を引き続きよろしくお願いいたします。
さて、国も地方も人口減少という時代の転換点にあります。その中で、いかに活力を生み出していくかという課題に
私たちは直面しております。
その中で、私は、次の5つのビジョンを掲げ、新しい宇美町づくりにチャレンジしてまいります。
はじめに、宇美町は、豊かな自然や貴重な歴史的・文化的資源、そして伝統が息づいています。次の100年に向けて、
全ての町民が「ふるさと宇美」を誇りに思えるまちづくりを進めてまいります。
私がそのことを強く感じたのは、町制施行100周年事業推進事務局長として『宇美町誌』の編さん事業や、各種の記念
事業を通じて、多くの町民の皆さんに接した時でした。
宇美町への愛着であるとか、この町の自然や文化を深く愛する方々の心に触れ、私たちが先人から受け継いだ豊かな
自然や伝統を、誇りを持って次の世代につないでいかなければならないと強く感じました。
そして、郷土を愛する心は、子どもの頃からの育まれていくものであろうと思います。副読本「わたしたちの宇美」の
継続活用はもちろんのこと、今議会に上程しております「町民憲章」の周知や活用が最も大切になってまいります。
次世代を担う子どもたちが、この町を誇りに思い、「私の故郷は宇美町です。」と胸を張って言えるようなまちづくり
を進めてまいります。
二つ目は、私たちの町には、町民の憩いの場所であり、安産・育児の守護神「宇美八幡宮」があります。そういう意味
においても、宇美町には、古くから子どもを大切にする文化が根付いています。
「子育てするなら宇美町で!」を合言葉に、子育てしやすい環境づくりを整え、宇美町の宝である子どもを安心して
産み・育てることができ、新しい時代に対応した教育を受けることができるまちづくりを進めてまいります。
三つ目は、すべての町民が健康寿命を延ばし、支え合いながら安心して暮らせるように、保健・福祉が充実したまち
づくりを進めてまいります。
いつまでも自立した生活を送るためには、自らの行動で病気を予防し健康を保持することが大切です。中でも生活習慣
病は、重症化すると長期入院や高額な医療費の発生につながるだけではなく、要介護状態の要因になることが分かって
います。介護予防を生まれた時からと捉え、個々に合わせた生活習慣の確立を目指すことで、長時間をかけて形成される
生活習慣病の発症及び重症化を予防するための保健事業を行ってまいります。
また、長引くコロナ禍の中にあって地域活動の休止や外出機会の減少は筋力や意欲の低下につながります。シニア層が
地域の様々な活動に参加しやすい機会づくりや環境づくりに取り組んでまいります。
四つ目は、毎年のように発生しております災害への備えです。あらゆる災害に強い安心・安全なまちづくりを進める
ため、大雨・洪水などへの備えをはじめとする防災・減災体制の一層の強化を図ってまいります。
関係機関と連携を図ることはもちろんのこと、防災リーダー、防災士の養成を行い、地域の自主防災組織の活動を支援
してまいります。
最後に、五つ目ですが、宇美町は、福岡空港や博多駅、高速道路の太宰府インターチェンジからも非常に近く、立地
条件に恵まれております。しかしながら、現時点では地の利を生かし切れていません。道路交通網の整備に加え、
常態化している道路渋滞の解消が急務であると考えています。
また、人口減少と合わせて、高齢化が進行していく中において、高台に大型戸建て住宅団地が多い宇美町は、地域交通
をどう維持していくかは、大変重要な課題と認識しております。公共交通の充実を図り、快適な移動が可能になるまち
づくりを進めてまいります。
公共交通の充実については、現在運行している福祉巡回バス「ハピネス号」は乗り場が限られており、住民の細かな
要望に応えられていない現状があります。利便性の向上を図り、持続可能な公共交通を実現するためにも、スマート
フォンアプリを使った予約システムを使用するオンデマンドバスを導入いたします。
ご存じの方もおられると思いますが、オンデマンドバスとは、路線バスのような既定の経路や時刻表がない予約型の
バスで、ワンボックス車両を使用して、利用希望のある停留所のみを結びます。AIが自動で走行ルートを決定して、
利用者がいない停留所には停まりませんので、移動時間の短縮につながります。もちろん、スマホをお持ちでない方
や苦手な方は、電話での予約が出来る様にしっかりとサポートいたします。
とは言え、町の財源には限りがあります。事業予算については、国や県の補助制度が活用できるよう最大限に働き
かけてまいります。例えば、この事業などは、昨年末に国の令和3年度補正予算にて創設された「デジタル田園都市
国家構想推進交付金」が活用できるのではないかと考えております。とにかく知恵を出して、私自身が率先して行動
し、財源の確保に努めてまいります。
その他にも行政のデジタル化を加速し、役場に来ることなく手続きができる仕組みや、公共施設・自治公民館等への
Wi-Fi環境の整備についても早急に調査・研究したいと思っております。
私が、Wi-Fi環境の整備が必要であると考えた理由の一つが、魅力あるまちづくりには、「情報発信」がとても大事
であると考えているからであります。行政や自治会はもとより、商店や商業施設、個人、団体、各種サークルなどが、
町に関わる祭りやイベント、商店や商品の情報などの違う情報を、それぞれの主体や訪れた人が情報発信する。その
結果、コンテンツ(情報の中身)が多様かつ豊富になり、それをマスコミが取り上げ、情報量が更に増えていく。
それが町のイメージアップにつながるものと思っております。
そういうことの積み重ねにより、現在、宇美町に住んでおられる方の満足度が上がることに加え、他の地域に住んで
おられる方が、宇美町に興味を持ってもらい、「住んでみたい」と、選ばれる町を目指すものであります。
思いは語りつくせませんが、現在策定中の「第7次宇美町総合計画」に、各種施策等を盛り込んで、具体的な政策として
反映したいと思っております。
最後になりますが、国も地方も大きな変革の時代にあり、乗り越えなければならない課題が山積しています。課題解決
のためには、町政の最前線に立つ職員一人ひとりが、宇美町の職員として働くことに誇りを持ち、その能力をいかんなく
発揮できることが大切であると考えております。そのためにも職員とともに知恵を出し合い、率直な意見交換ができる
風通しの良い職場環境づくりに努めてまいります。
私の中の物差しは、その政策が、「町民のためになるのか?」という、この一点です。仕事を進めて行くうえで、常に
「町民の皆さんのためになるのか?」を自問自答しながら、必ずや、皆さんの期待に応えられるよう、公約の一つ一つ
を、スピード感を持って実現してまいります。
以上、町長就任にあたり、私の考えと決意をお話しさせていただきました。今後は、町民の意見をじっくりと聞き、
選択肢を見極めたうえで果敢に実践していく所存であります。議員並びに町民の皆さまには、今後ともご支援とご協力を
心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。